Bobby Beethoven (FKA Total Freedom)
It’s all cheap – I’m cheap. I cut my path pursuing beauty and trying to align my ugly ass with it. It has been chaotic, I guess, and the produce is like paper-thin, but the ride’s been cute. Wouldn’t change a thing. I have no musical talent, just an obsession.
「全部安っぽい。自分そのものがチープ。美しさを追いかけて、醜い尻をなんとかその美に寄せていく、それが自分の道だった。まあ混沌としてたと思うし、産み出したものは紙みたいに薄いけど、旅としては可愛かったかな。後悔は何もない。音楽的才能は一切ない。ただの「執着」だけでやってる。」
I’m the last DJ on earth who doesn’t use rekordbox. I still listen to beat-match and I’m still kinda bad at it. Whatever… Twenty-something years later the girls still like it – sue me for being so authentic I guess. It’s weird there aren’t bad DJs anymore. We’re shipping more and more shit off to be handled by automation – idk, a train-wreck or two is nice if you ask me.
Rekordboxを使わない。今でも耳でビートマッチしてるし、しかもいまだに上手くない。まあいいけど…。20年経っても女の子たちはそれを好きでいてくれる。訴えるならどうぞ、本物すぎてごめんね、って感じ。今は「下手なDJ」がもう存在しないのが奇妙だよな。どんどんいろんな作業を自動化に投げてる。でも俺に言わせれば、2回くらいの大事故(テンポずれ)はむしろあったほうがいい。
Music is the only good thing humans do. Like all of our other little spells – science, art, the written word – it’s all extractive, destructive, prone to abuse. I don’t understand music technically, but to me it just feels like a magic trick. I was DJing in high school and I’m gonna be a DJ until I’m too old to stand behind the decks and absolutely no one but me wants to hear it. I love all of us here and as goofy as the clown show looks I wouldn’t trade my place in it here with y’all for anything.
音楽は、人間が唯一まともに生み出した良いもの。ほかの魔法、科学、芸術、文字、全て搾取と破壊と悪用の道具になる。音楽を技術的に理解してないけど、魔法にしか感じない。高校生のころからDJをしてて、立っていられなくなるまでDJを続ける。誰も自分の音を聴きたくなくなっても、DJをやめるつもりはない。ここにいるみんなを愛してる。この「道化のショー」みたいな世界も含めて、その中で自分が立っている場所を、何ものにも代えたくない。
Lampoon Magazine – Bobby Beethoven Interview
*流行よりも文化の深部、矛盾、倫理を扱うミラノ発のハイエンドカルチャーメディアLampoon Magazineのインタビューより
Bobby Beethoven、かつてTotal Freedomとして知られたアーティスト。音楽・アート・ファッションなど複数の領域を横断して活動しながら、20年にわたるキャリアを持ち、世界的に高く評価されている。伝統的なクラブミュージックの境界を常に押し広げる「音のリスクテイカー」として、その名声を築いてきたが、このインタビューが指し示すように強固なスタンスと意志、独自の選曲的嗜好が意図せぬかたちで、しかし正当に評価をされたアーティストのひとりでもある。
*TF LATENITEKUNK JEREMYH KINGDOM JAWS DIVOLI
クラブミュージックの既存構造を解体し再構築するその姿勢からエクスペリメンタル・クラブの形成において中心的役割を担った。Mustache Mondaysや、Wu Tsangと共同で立ち上げたWildnessなどの先駆的パーティー、さらに10年代のNYで最も脚光を浴びたパーティー、GHE20G0TH1Kの重要メンバーとしても知られ、その影響はArcaをはじめとする同時代のヴィジョナリーたちに及んでいる。
*LIVE FROM GHE20G0TH1K 001 (PREVIEW)
DJとしての活動は国際的であり、Club to Club、Primavera、Sonar、Draaimolen、そして日本のFFKTなど数多くの主要フェスティバルに出演。さらに、Evian ChristによるUKカルトパーティー/レーベルTrance Partyシリーズの初期から関わり、Fabric London、Berghainなど、世界の主要クラブに定期的に登場してきた。彼のDJは、CDJを楽器として扱うという言説が形骸化して以降も例外的な独自性を保持し、エフェクト、アカペラ、モノローグ、R&B、ダンスホール、クドゥーロ、ブレイクス、テクノなど多様な素材を衝突的かつ構造的に組み合わせることで、他に類のない「制御されたカオス」として評価されている。その姿勢は現在でも、クラブミュージックにおける表現の境界を押し広げるものとみなされている。
クラブに限らず、Bobby Beethovenはアート領域でも重要な成果を残している。これまでに Isa Genzken、Kelela、Jason Moran、Arca、Lizzi Bougatsos、Ryan Trecartin など多数の著名アーティストと協働。ファッション領域では、Telfar、Hood By Air、Diesel、Helmut Lang、Muglerといったブランドのランウェイショー音楽を手がけ、クラブカルチャーの美学をファッションの制度領域へと持ち込んだ点も特筆される。
*MUGLER – Spring Summer 2021
制度的アートの領域においても存在感は大きい。2012年にはSuzanne Geiss Companyで「Blasting Voice」シリーズをキュレーション。2016年には第9回ベルリン・ビエンナーレ*で、12作品から成るレコードプロジェクト「Anthem」のクリエイティブディレクターを務めた。これらの作品群は、MoMA、Tate Modern、Walker Art Center、MOCA Los Angeles、The Shed、Park Avenue Armory といった世界的文化機関で展示され、音楽家としての枠を越えた文化的表現者として位置づけられている。
*ベルリンで2年に1度開催される大規模な現代アートの国際展覧会

近年はBobby Beethoven名義を通じて、音楽やアートの制度、環境負荷、DJ文化の矛盾と滑稽さ、人間の創造性と破壊性の相克など、より思想的なテーマを積極的に語り始めている。彼は自身を「音楽的才能はない。ただの強迫観念だ」と語りつつ、音楽を「人類がまだ完全には台無しにしていない最後の魔法」と捉え、技術や商業的価値よりも「表現することそのものの必然性」を重視している。この姿勢はミックスシリーズ、インタビュー、エッセイ的語り口すべてに貫かれ、クラブカルチャーにおける思想的アーティストとしての位置を確固たるものにしている。
環境への自己批判、インディペンデント精神、アーティスト名義の自壊と再構築、商業領域との不一致、DJという身体行為の滑稽さの自覚、そしてそれでも続けるという意思。これら相反する要素すべてを抱えながら、彼は20年以上にわたり世界中のクラブ、フェスティバル、美術館、ランウェイを横断し続けている。
*TF LIVE AT CYBER BILLY’S
そのキャリアは、一般的な成功モデルとは異なる文脈で語られるべきものであり、クラブミュージック、現代アート、ファッション、社会思想の接点に立つ特異な存在として、国際的な文化領域において独自の位置を占めている。
*RA.900 Bobby Beethoven (FKA Total Freedom)
2025年のツアーでは12/20(土)にESŐで開催されるTFを皮切りに、大阪地下一階、東京AiSOTOPE LOUNGEを巡る。
Bobby Beethoven (FKA Total Freedom) Japan Tour 2025
Dec 20 – TF at ESŐ (Kanazawa)
Dec 26 – fíeld at 地下一階 (Osaka)
Dec 27 – JOINT PARTY by AMAPINIGHT × CLUBSKIN at AiSOTOPE LOUNGE (Tokyo)

