(Nosedrip)

Nosedrip

ベルギーのエクスペリメンタルミュージックシーンにおいてNosedripとして知られるZiggy Devriendtは重要なDJであり、キュレーター。その深い探求心と予測不可能で自由度の高い選曲で知られる。

彼の物語はベルギー北西部、沿岸に位置する町、オーステンデから始まり現在はブリュッセルを拠点に活動。ベルギー北西部のヘントに位置する60年代末から存在するベルギーの名門レコードショップ、Music Maniaとも深いつながりを持ちながら、自らの音楽的アイデンティティを確立する。Music Maniaとの連携もあり、ベルギー初のオンラインラジオ局Stroom TVを独特のオーディオビジュアルアプローチで設立。 その後レコードレーベルとして再出発し、埋もれた音楽を発掘し、再評価する役割を担う。レーベルとしての本格活動開始は2016年頃。初期リリースには、フランダース(ベルギー)発のアニメーション映画「Jan Zonder Vrees」のサウンドトラック再発など。 80年代・90年代のアヴァンギャルド音源、インディー/実験的サウンド、アンビエント、エレクトロニックからニューウェーブなど多岐にわたる。 作品の選定において、コレクター文化(プレミア付きの再発/高値化)への懐疑的な姿勢をもち、「単なるレア盤発掘」ではなく、音源の持つ背景・物語を重視している。としてBandcamp上ではレーベル、そして放送局として音楽作品の公開も行い、世界各国の音楽愛好家から高い評価を獲得している。

ロンドン発の世界的オンライン音楽プラットフォーム兼ラジオ局のNTS Radioではマンスリー番組を担当し、毎月自身の持つ膨大なコレクションから新たな発掘音源を配信、Stroom TVの創設者としてのフォロワーとの重要なコミュニケーション手段となっている。これは、NTSが掲げる「多様な音楽性の追求」という理念と共鳴している。
2010年から2020年まではアムステルダムのRed Light Radioでも番組を持ち、聴衆を内省的で瞑想的な世界へと誘導するようであった。これらのラジオ番組は彼と密接で、DJセットが持つ折衷的な側面とは異なるが静かで思索的な一面を表している。

*Red Light Radio: Nosedrip – Dekmantel Festival 2019

独自のDJセットは、ジャンルの枠を超えた展開が特徴で、アンビエント、テクノ、ハウス、ニュービート、ダウンテンポそして奇妙なリズムや空気感が入り混じる。そのプレイはリスナーをめくるめく音の旅へと誘い、ヨーロッパ屈指のキュレーターとして多様なスタイルは高く評価されている。
近年MeakusmaやLove International Festival、Making Time、そしてDekmantelなどベルギー国内、ヨーロッパを中心に世界各国のフェス、クラブに名を連ねている。

*Nosedrip & Aroh at EYES. EYES. baby

*Nosedrip – Meakusma Festival 2024

*Nosedrip @ MAKING TIME ♾️ 2025 / The Lot Radio

Nosedripは自らを「音楽の門番(gatekeeper)」と称している。彼にとって重要なのは単に珍しい音源を見つけることではなく、その音楽が持つ歴史や背景を深く理解し、アーティストのストーリーを尊重すること。Stroomのリリースが音源だけでなく、丁寧なライナーノーツやアートワークで彩られているのは、この哲学のあらわれと言える。その音楽に対する誠実な姿勢と深い愛情が、多くの人々を魅了し続けている。

11/22(土)に開催されるbe-spokenで、そのアーカイヴが現場で共有される。